先日、ふたつの絵本関連の展覧会に行ってきました。ひとつは東郷青児美術館(新宿)で開催された“ちひろと世界の絵本画家たち”。もう一つは国際子ども図書館(上野)で開催された“世界のバリアフリー絵本展”(ともに8月26日まで)です。
ちひろさんの絵本原画展には、ご自身の25点の原画の他、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカなど25か国52人の絵本画家たちの原画が展示してありました。原画枚数は約130点。それぞれの力がこもった作品は、平面の絵本とは異なり、筆のタッチなど、じかに感じることができ、すばらしい時間になりました。
中でも私は、八島太郎さんの原画「からすたろう」の微妙な色合いに出会えてうれしかったです!
この作品は1976年アメリカでライトなペーパーバックとして出版され、その後、1979年に逆輸入し日本語版が出版されました。
八島さんご自身の生い立ちを描いたものとされ、時代背景はかなり昔ですが、人と異なることがいじめの世界に結びつく現代社会にも通ずるところがあり、ぜひぜひ多くの方がたに読んでいただきたい絵本です。
さて、もう一つの行き先、国際子ども図書館は上野の森にあります。1906年建設のルネサンス様式を取り入れた旧帝国図書館の庁舎を利用し、2000年に日本初の児童書専門の国立図書館として設立されました。日本内外の児童書と、それに関わる文献の収集・保存・提供などの他、国際的な拠点として位置づけられています。年齢制限なく誰でも無償で入館することができます。
ここの3階ホールでは「世界のバリアフリー絵本展」が開催されていて、国際児童図書評議会(IBBY)が2011年に選定した世界18か国の60作品を手にとって読むことができました。
ここで私は、すべてがBLACKの『黒い本』に出会いました。形などはインクを盛って表現してあり、造形的にも素晴らしいメキシコの絵本です。
目が見えないトーマスが見えるお友だちに、どんなふうに色の世界を理解しているかを話します。味わったり、触ったり、匂いを嗅いたり、耳を澄ましたり…すると、目だけで色を感じるお友達以上に、見えないはずの色が豊かなものに膨らんで感じることができるのです。本当に素晴らしい本で、感激しました。
エントランスのある一階には、児童向けの「子どものへや」「おはなしのへや」「世界を知るへや」があり、来館した子どもたち(おとなも)が自由に児童書を閲覧できます。今回は小展示として、所蔵するバリアフリー関連図書が40冊ほどピックアップされていました。
部屋に入ると、なんと、『ぼくのおにいちゃん』が棚から微笑んでいるではありませんか!そして、『みえないってどんなこと?』もあり、作者としては、嬉しくなってしまったのでした!
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