11月は稼業の写真館が一番忙しい時期です。七五三そのものは、若いパパやママにどれくらい認識されているかわかりませんが、私たち世代のおばあちゃまからすると、孫の成長記録をスタジオ写真にして残したいと思われるようです。
先日いらしたお客様は、ご自分が七歳の時に七五三で着たお着物を、娘さんに着せ、今回はお孫さんにも着せたとのこと。「50年前の着物を親子3代で着まわししました」とおっしゃっていました。こんな方に出会うと、うれしくなります!
さて、そんな合間に、3年越しの写真絵本『竹とぼくとおじいちゃん』がポプラ社より出版されました。11月8日の土曜日が配本のようで、書店さんには10日ぐらいに並ぶ!?とか…ですので、少し宣伝させてください。
田園風景が広がる群馬県みなかみ町が取材の地です。夫とふたり、好きな温泉と真竹を求めてさまよっているうちに、素敵なおじいちゃんとかわいいお孫さんに巡り会いました。自然を相手に生活するおじいちゃんから孫へのこころのメッセージを、真竹を通じて描いてあります。
採りたての竹の子の網焼きに舌鼓を打ち、若竹の柔らかさに驚き、竹林のささやきや土の香など、五感で味わいながら作った写真絵本です。
しかし、厳しい現実も垣間見ました。農家のほとんどがおじいちゃんやおばあちゃんの力で成り立っていて、それを継承する人たちが少ないのです。また高齢化だけでなく、少子化も。
撮影当時、1年生のつばさ君がみんなと竹とんぼを飛ばした小学校は、今年、統廃合され廃校になりました。スクールバスで通うことになったつばさ君は、楽しみだった寄り道ができなくなってしまったとのことです。たった3年間ですが、こんな変化がありました。
私たちは今、あらためてこの写真絵本を作って良かった!と、思っています。地味ではありますが、多くの人のこころに届くことを願ってやみません。