「息子さんを施設に預けるって、どんな気持ちですか?」だいぶ前、講演をした時に聞かれた質問です。<子を見放して、自分はこんなところで>とでも言いたげなその方のまなざしに、一瞬たじろぎました。施設って暗くて不透明なイメージなのですよね…
息子がいた学園の大部分の親たちは、そのままだと、子どもはもちろん家族みながつぶれてしまうので、すがる思いで我が子を学園に託した人たちです。止む終えない事とは承知しつつ、後ろ髪を引かれながら…。
だから、親たちはボランティアをして、その気持ちを紛らしているのかもしれません。父母会の総会はお父さん方が仕切っていて、まるで株式総会のよう。年度が開けて間も無く準備にかかる11月のバザーは、親たち総出で運営し、売り上げは1000万以上にも。利益のほとんどは子ども達のために使われています。
学園の先生との間は密で、いろいろ相談にのっていただき、灯台のように親子ともども頼りにしていたのでした。それに甘んじて16年近くも、親子舟は大海原を航海。そして、この4月、やっと地域という港に辿り着こうとしています。